親の物忘れを何とかしたい

親(高齢者)の物忘れで困っている人向けの、試行中のITサービスや、関連情報のご紹介です。

2010.09.27 国リハセンター、パペロを活用して認知症者の自立行動を促す情報支援システムを開発

6年と少し前の記事ですが、ロボナブルの記事のご紹介です。

ロボットポータル-ロボナブル-2010.09.27 国リハセンター、パペロを活用して認知症者の自立行動を促す情報支援システムを開発

 ※プレスリリースでは「認知症者」となっていますが、実際には、認知症に限らず、高齢者になると普通にある「物忘れ」が広く対象になると言って良いと思います。

 

1.認知症者の自立行動を促す情報支援システムを構築

国立障害者リハビリテーションセンターは、NECのパーソナルロボット「PaPeRo(パペロ)」を用いて、認知症者に自立行動を促す情報支援システムを構築。PaPeRoと認知症者との間で対話が成立し、90%以上の注意喚起と情報伝達に成功したことを明らかにした。注意機能や認知機能が低下した認知症者に情報伝達ができるプラットフォームになり、自立行動の支援につながることが期待される。今後、長期的な実証実験を通じて、介護サービスとの連携により24時間体制で認知症者の自立支援ができる体制づくりを目指す。

ここで、「自立支援を促す情報支援」というのは、例えば、下記のような声がけを行うことです:

  • デイサービスのお迎えが来る前に、出かける準備をすることを促す声がけをする

トイレに行くなどの準備ができていない場合、デイサービスの車に乗った後で、高齢者の方がトイレに行きたくなります。そうしますと、デイサービスに到着する前にどこか途中でトイレに寄ることになり、到着が遅れるなど、関係者全員にとって好ましくあります。そこで、物忘れが無い人であったら普通に行うこと(ここでは出かける前にトイレに行っておく)を、物忘れのある高齢者の方に行って頂くために、ロボットが声がけを行います。

 

2.ロボットを利用した

 軽度認知症者で問題となる情報把握から行動支援までを支援する対話型情報支援システムとして構築した。対話による情報支援ができ、かつ適切なタイミングでなされるといったニーズから、音声対話および認識、生物をイメージさせるデザインなどの要求機能を抽出し、PaPeRoをプラットフォームに選択した。

声がけを行う手段としてロボットを利用しています。

そもそも人が行うことができない場合が対象だと思います。人が声がけできない場合の代替手段として、どのような手段が良さそうでしょうか?実体のあるロボットやぬいぐるみのようなモノが話しかけるのは一案だろうと思います。

特に、高齢者には適しているかも知れません。

 

3.情報支援の方法

 対話による情報支援は、人同士の対話をもとにした「注意喚起インタラクション」と「情報伝達インタラクション」の2段階によりなされる(*)。前者ではまず、認知症者に名前で呼びかけることで注意を引き、続いて、これから情報を伝えることと、その内容を予期してもらえるよう前置きのメッセージを伝える。
 後者では、前置きをした後に実際の情報を伝える。認知症者が情報を取得できるよう、その成否をPaPeRo側が認識し、できていない場合は再度情報を伝える。認知症者の理解度を確認しながら対話を行うようにしている。

  • 名前を呼んで注意を惹く「注意喚起インタラクション」
  • 伝えたい情報を予期してもらえるような前置きメッセージ
  • そして「情報伝達インタラクション」で用件を伝える

情報支援の内容はこのような順序で構成されています。

 

4.実際の高齢者の方を対象とした検証

 97歳の女性の軽度認知症者を対象に、1日1時間程度、24日間にわたり使用してもらったところ、前者により注意を引くことができた割合と、後者により情報を伝えられた割合は、ともに90%を超えた。具体的には、外出の予定を思い出せたり来客者の情報を伝えたりする対話により、外出前にトイレを済ませたりヘルパーを玄関で出迎える行動につながった。実際の生活シーンにおいて自立行動の支援につながることが確認された。

注意を惹くことができた割合と、情報を伝えられた割合は、ともに90%を超えたそうです。

 

5.今後

  今後は、複数の認知症者に対し長期間利用してもらう実証実験を実施し、症状の変化や様々な認知症者に対応するためのシステム開発を行う。さらには、介護サービスとの連携機能を持たせることで、24時間体制で認知症者の自立支援が行える体制づくりも目指す。

実際に実サービスになるのはだいぶ先だと思いますが、何とかして実現したいサービスだと思っています。