物忘れを考える
物忘れがある高齢者であっても、家族が一緒に暮らしていれば、家族が親に対して声がけを行うことで、家で生活を続けることが可能だろう。老いた親が子や孫と同居することが多かった時代はそうであったと考えられる。
一人暮らし高齢者世帯または老夫婦世帯に対して、物忘れや面倒に感じてやるべきことをやらない状況を回避するために、どのような方法を取りうるだろうか。子や孫が共に暮らして老親を助けるのと同様なことを、別の方法でどのように行うことができるだろうか。
やるべきことをやらない状況を回避する方法として下記の方法が考えられる:
1)毎日のやるべきことのリストを作成する
2)やるべき事柄を一日の中でいつ行うかを決める
3)やるべきことを行う
4)行ったことを記録に残す
※ただし、決めた時間に行うことができない場合には、予定を組み直すことも行う。
実際、物忘れが高じる以前においては、上記の1)2)4)は、人が自らの頭の中だけで行っていることは自明であろう。
一方、物忘れが徐々に目立ってきたときに、人はどのようにしているだろうか?
現実の高齢者の生活の様子を見ると、物忘れが徐々に高じるにつれ、カレンダーにその日にやるべきことや予定を書き込む(これは1)に相当する)ようになるのが普通である。
さらに、行ったこと自体を忘れやすい事柄については、行った後に記した事柄を横線で消したりする(これは4)に相当する)ようになる。
また、予定が複数ある場合には、それらの各々をいつ行うかまで考えて予定を作成するであろう(これは2)に相当する)。
このように、物忘れがまだひどくない場合には、毎日の予定ややるべきことの表またはリストを作成して確認しつつ実行し、実行後にチェックする、という生活上の工夫を行うことで、物忘れが現れるようになっても、支障が無い生活を送ることはある程度可能である。
しかしながら、より物忘れが進行するにつれて、
・カレンダーに予定を書くことを忘れてしまう
・間違った日に予定を書いてしまう
・カレンダーを見て予定を確認することを忘れてしまう
・カレンダーを見て予定を確認しても実際に行うことを忘れてしまう
・書き込んだ予定が読めずさらにその予定が何であったかを思い出すことができない
などの事象が増えてくる。
(おそらく続く)